«前の日記(2017年03月21日) 最新

fkino diary


2018年07月19日 [長年日記]

_ Agile Japan 2018 川鍋氏の基調講演に思ふこと

Agile Japan が 2009年の初開催 から数えて10回目の開催になったことは個人的に感極まる出来事でした。

今年の Agile Japan は JapanTaxi の川鍋社長の基調講演がとても印象に残ったので、それについて書いてみようと思います。

川鍋社長の基調講演を聞いて、「トップの理解があるからうまくいっている」「うらやましい」という反応を耳にすることが多かったです。まったくその通りだと思います。しかしそれは裏を返すと、川鍋社長のような経営者がいないと開発はアジャイルにならないということの裏返しなのかと思い、悲観的な気持ちになりました。(私の経験上、そんな企業はほとんど皆無だからです。)

しかし待てよ。

川鍋社長の話の中で、1日に何度もTシャツをスーツに着替えて国土交通省に行っているというエピソードがありました。規制産業の中で政治家や役所との調整役を買って出ている。さらには、日本交通という長い歴史のある企業で既存ビジネスとのあいだに立って、両者のバランスを取ろうとしている。

この人、闘っている。

こういったエピソードを聞いたことを思いだした瞬間、私の中で何人もの顔が思い浮かびました。

光学機器メーカでアジャイル開発を推進するために経営者と現場のあいだに入ってすべての調整を行ってくださった部長さん。自動車メーカーの子会社でアジャイル開発を推進するために首を覚悟で親会社とのスコープ調整をやってくださったプロダクトオーナー。ひ孫請けのベンダの立場でありながら明日から私服勤務を許可してくださいと日本で時価総額がトップ3に入るような企業のマネージャに噛みついたエンジニア。

私がこれまで見てきた開発の現場では、開発をアジャイルにするために現実と理想のあいだにはさまって、それでもパッションを持って闘っている人がいました。開発をアジャイルにするためにはそういう人たちが必要なのです。JapanTaxi はそれがたまたま社長だっただけ。部長でも現場のリーダーでも、あるいは、ひとりのエンジニアであったとしてもできるのです。でも逆に、そういう人がひとりもいない環境では開発は絶対にアジャイルにならない。そんな思いを強くしました。

そう、川鍋社長は社長だからできたんじゃない。覚悟があれば、誰もが川鍋社長のようになれる。もちろん、今日 Agile Japan に参加した人たち、ひとりひとりも。

あ、そうか、今日の基調講演は川鍋社長のカイゼン・ジャーニーだったんだ。そんなふうにおもいました。

そして、これまで 10年間の Agile Japan はこういうパッション持った人たちに出会うためのジャーニーだったんだな〜。

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで(市谷 聡啓/新井 剛)

Tags: agilejapan