2014年08月01日 [長年日記]
_ (株)永和システムマネジメントのアジャイル事業部長に就任しました
私の勤務先の永和システムマネジメントは35年の歴史があり、アジャイル開発には00年代前半から取り組んでいます。
8月1日より、永和システムマネジメントの35年の歴史の中で、はじめて アジャイル の名前を冠する事業部ができることになりました。逆に今までなかったのかと驚かれるかもしれませんが、永和システムマネジメントに転職して8年、Rubyとアジャイルを仕事の中心に置いてきた当事者の立場からすると、感極まりすぎてニュースリリースまで出してしまったほどです。
そして、私はこのアジャイル事業部の事業部長に就任しました。私が事業部長を任命されたとき、経営者のひとりに言われた言葉は「好きにやっていい」でした。 永和システムマネジメントのアジャイル事業を好きにやるっ!! 責任重大ですが、今このとき、この立場にあれることは、これはたいへん幸せなことだと思っています。
私が永和システムマネジメントに入ってからこれまでの仕事は、エンジニアのコミュニティを通して出会った多くの人たちとの繋がりに支えられてきました。これを機に、社外で出会ったコミュニティの人たちにも永和システムマネジメントのことをよりよく知ってもらうために事業部計画書(PDF)を公開することにしました。
これからも応援よろしくお願いします。
2012年08月12日 [長年日記]
_ Agile2012の傾向と対策
毎年恒例、Agile Conferenceに行かない私が、Agile Conferenceのプログラムすべてに目を通して、お薦めセッションを紹介するエントリです。
ダラス組からの報告お待ちしています。
Monday AM
The Product Partnership: Using Structured Conversations to Deliver Value: Ellen Gottesdiener, Mary Gorman
プロダクトに関わる関係者が会話するための方法を学ぶ。インセプションデッキと近いけど、インセプションデッキとは違ったアプローチ。
Agile2011のセッションの再演。昨年のセッションレポートはこのブログが詳しい。
http://craigsmith.id.au/2011/09/12/agile-2011-day-1-review/
Bad-Assed Double-Loop Learning: From Judgmental to Good Judgement: Derek W. Wade, Susan Eller
準備されたシナリオに基づいてダブルループ・ラーニングを体験するワークショップ。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/derekwwade/uncover-your-frames
Users Are From Mars, Developers Are From Klingon: Derek Lane
ユーザーは火星人で、開発者はクリンゴン人というユニークな喩え。両者がコミュニケーションギャップを埋め、クリンゴン人、もとい、開発者がユーザーが求めているものを識別するための手法をゲーム形式で学ぶハンズオン。
Make your iPhone Agile with automated iOS Testing: Eric Smith, Eric Meyer
Fitnesse, OCSlim, OCDSpec を使って、iOS上で動くアプリケーションの Acceptance Test を自動化するというお話し。最新のiOS SDKをインストールしたMacを持参のこと。
Problem Statement to Scrum Board: Design Studio Using Systematic Creativity for Innovation: William Evans
Design Studioという手法を紹介するワークショップ。
Monday PM
ACT: A Planning Tool for Agile Change Agents: Jutta Eckstein, James Shore
『』のJames Shoreのセッション。
Jutta Eckstein, Diana Larsen, James Shoreが提唱している Agile Change and Transformation (ACT) planning model の紹介。
Agile Inception Deck - 10 questions you'd be crazy not to ask before starting your project: Jonathan Rasmusson
『』の著者 Jonathan Rasmusson 自らによるインセプションデッキのワークショップ。
TDD for [Embedded] C: Bas Vodde, James Grenning
Bas Vodde と James Grenning という有名人2人による組込みソフトウェア向けのC言語でのTDDの紹介。
予習はこちら。
http://www.renaissancesoftware.net/files/agile2011/TDD-in-bed-with-C-2011.pdf
The Fastest Learner Wins: Exploring the Innovator’s DNA: Mary Poppendieck, Tom Poppendieck
お馴染み Poppendieck夫妻による講演。
Clayton Christensen の『』を引き合いに出し、破壊的イノベーションを持続的に起こさせるアプローチについて解説する。
これはぜひ、聞いておきたい。
The UX of User Stories: Anders Ramsay
Agile UX のワークショップ。UX に加えて、Lean Startup や Experience-oriented story というキーワードがでてくる。
予習はこちら。
http://www.andersramsay.com/2011/07/16/the-ux-of-user-stories-part-1
http://www.andersramsay.com/2011/07/24/the-ux-of-user-stories-part-2
http://2012.uxlondon.com/programme/day3/anders/
Tuesday AM
Scaling up Excellence: Bob Sutton
Bob Sutton のキーノートスピーチ。
職場で人間性を重視し、人々が最高のパフォーマンスを発揮できるようにするにはどうすればよいかというお話。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/SBODN/bob-sutton-on-scaling-up-excellence-may-2012
http://bobsutton.typepad.com/my_weblog/2012/02/my-main-focus-for-2011-scaling-good-behavior.html
Agile In a Nutshell: Jonathan Rasmusson
Jonathan Rasmusson が再び登場。
Agile Japan 2012でも発表されたお馴染みのセッション。
http://agilewarrior.files.wordpress.com/2009/05/agile-in-a-nutshell.pdf
Clean Code: Robert Martin
Bobおじさん 登場。
『』のお話し。
Why Agile Needs More Cowboys: Mike Griffiths
アジャイルとリーダーシップの話。カウボーイは牛の群れを導く方法を知っており、組織を牛の群れに喩えて、アジャイルなリーダーシップについて、カウボーイから学ぶ。
Tuesday PM
This One Goes to 121: James Shore, Arlo Belshee
James Shore 再び登場。
成功と失敗を分かつものとは? 卓越を追求して、チームの限界を超えていく方法を探る。
Kanban Pizza Game - the Kanban experience for foodies: David Bland, Dave Sharrock
何とも楽しそうなセッション。
一個流しやWIPの制限などのカンバンの本質を、ピザ屋を例に体験するワークショップ。
昨年、フィンランドのAgileカンファレンスで同セッションが行われた様子はこちら。
http://www.agile42.com/en/blog/2011/09/23/kanban-pizza-game/
Team Dynamics Interactive Games : Ken Howard
折り紙を通して協調的なコミュニケーションについて体験したり、トランプの「ブリッジ」を通して自己組織化チームにおけるリーダーシップについて学んだりするゲーム形式のワークショップ。
Scaling Agile with Multiple Teams: Using Lean to Drive Business Value: Alan Shalloway
Agile Japan 2010 で来日したAlan Shallowayのセッション。
複数チームが関わるような規模の大きなアジャイル開発のための代表的なといえば、Scrum-of-Scrums が挙げられるが、Scrum-of-Scrums ではない別のアプローチについて説明する。
予習はこちら。
http://www.dfwscrum.com/events/50329582/?eventId=50329582&action=detail
Leading Conflict: A Systems Intelligence Approach to Conflict Facilitation for Leaders: Michael Spayd, Lyssa Adkins
『』の著者として有名な Lyssa Adkins によるセッション。
コンフリクトを解消するためのファシリテーションについて、ワークショップ形式で学ぶ。
個人的にはすごく参加したいワークショップ。
Teams are made of People! Personal Kanban for healthy self-organization and real-time: Jim Benson
『』の話。
予習はこちら。
http://www.isixsigma.com/tools-templates/kanban-tool/personal-kanban/
Testing System Qualities: Rebecca Wirfs-Brock, Joseph Yoder
『』の Rebecca Wirfs-Brock のセッション。
ユーザビリティ、セキュリティ、パフォーマンス、スケーラビリティ、国際化、可用性、アクセシビリティなどのようなアーキテクチャに関わるシナリオを記述する方法を示すハンズオン。
Extreme Design — The Secrets to Successful Design Pairing: Samuel Bowles
ペアプログラミングならぬペアデザイン。ペアでデザインを行うための原則を紹介する。
予習はこちら。
http://www.scribd.com/doc/55672319/Extreme-Design
Dealing with the Counterproductive Games holding back your Agile adoption: Rowan Bunning
『』を参考にしたワークショップ。
交流分析の観点からアジャイルを適用するときに生じる対人関係に焦点を当てるセッション。集団で共同作業を行うときに陥りがちな「社会的手抜き」を回避する方法とは。
個人的にすごく興味がある分野。
Continuous Delivery: Jez Humble
Jez Humble 本人による『』の話。
Working Effectively with User Stories: Silent Sizing and Definition of Ready: Ken Power
ユーザーストーリーのサイレント・グルーピングという手法と「Readyの定義」についての話。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/kenpower/using-silent-grouping-to-size-user-stories-xp2011
The product owner role is a stupid idea: Improving how we handle customer requests: Jeff Patton
昨年の Scrum Gathering Tokyo で来日した Jeff Patton によるセッション。
ユーザーストーリーマッピングの提唱者である Jeff Patton が自ら顧客の要求を整理する手法について解説する。
The Power of Observation: Jukka Lindström
昨年、すくすくスクラムで来日した Jukka Lindström によるセッション。
UXを実践する上ではとても重要な「観察」について解説する。
The Silence of Agile: Steve Rogalsky
サイレントブレーンストーミングという手法の紹介。科学的な背景の説明もあって、面白そう。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/SteveRogalsky/the-silence-of-agile
Lean from the Trenches: Managing Large Scale Projects with Kanban & Scrum & XP: Henrik Kniberg
Henrik Kniberg は『』の話。
Creating a Shared Vision: Strategies and Techniques to Inspire Teams: Brad Swanson
ピーター・センゲを引き合いに出し、共有ビジョンを作成する5つの戦略を探る。
A learningful life: Staying relevant and agile in high tech: Linda Rising
Linda Rising 登場。
アジャイルと学習について。Lindaファンは必聴のセッション。
Estimate of the appropriate iteration length in agile development by conducting simulation: Ryushi Shiohama, Hironori Washizaki, Shin Kuboaki,, Kazunori Sakamoto and Yoshiaki Fukazawa
日本勢見参。
鷲崎先生の研究成果の発表。
Wednesday AM
Cultural change with Spiral Dynamics to transform from 'doing agile' to 'being agile': Dajo Breddels
Clare W. Graves教授に端を発するスパイラルダイナミクスの研究成果を元に、アジャイルをするからアジャイルである状態に移行する方法を説明する。
Scaling Lean|Agile Development to the Large Enterprise with the Scaled Agile Framework: Dean Leffingwell
Dean Leffingwell によるアジャイルとスケールアップの話。
Transforming a Worst Nightmare Leader to Situational Leader: Dave Neuman
Ken Blanchard の Situational Leadership II モデルをワークショップ形式で体験する。
Ken Blanchard を取りあげるあたり、着眼点が渋い。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/daneuman/transforming-worst-nightmare-leader-06052012-13213273
元ネタはこのあたり。
Testing As We Go: Perspectives on Testing as part of Done: Elisabeth Hendrickson
アジャイルテストの大御所 Elisabeth Hendrickson は、テストとDoneの定義について。
Agile UX Research Practices Applied : Miki Konno
米国在住、米マイクロソフト社勤務の Miki Konno さんによる発表。UXテストの手法 "Quick Pulse Studies" について解説する。
昨年、米マイクロソフト本社で行われた ALM Summit のレポートはこちら。
http://d.hatena.ne.jp/kaorun55/20111116/1321431402
Successfully bootstrapping a large scalable Scrum practice at Royal Dutch Shell: David Segonds
ロイヤル・ダッチ・シェル社で組織的にスクラムを導入した事例の紹介。
Agile Transformation - What to do with managers?: Arto Eskelinen
アジャイルに取り組むときに起こりがちな、マネージャの抵抗に対処する方法を、自身がマネージャを経験した立場から解説する。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/aeskelin/what-to-do-with-managers
Does Pair Programming Have to Suck?: Angela Harms
ペアプログラミングの効果についての話。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/angelaharms/pair-programming-10082278
http://www.youtube.com/watch?v=OQXEzwXtzJ8
Agile Enterprise Architecture? Oxymoron or Savior?: Scott Ambler
Scott Ambler は『』の話。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/agileindia/agile-enterprise-architecture-11947301
Scaling Agile Teams: Principles and Practices: Esther Derby
アジャイルチームをスケールアップさせる方法について解説する。Scrum-of-Scrumsを超えて。
予習はこちら。
http://www.estherderby.com/2011/12/agile-teams-at-scale-beyond-scrum-of-scrums.html
Wednesday PM
Patterns for Agile Adoption and Transformation: Mike Cottmeyer
Mike Cottmeyer はアジャイルの導入と移行に関するお話し。
予習はこちら。
http://www.infoq.com/interviews/Mike-Cottmeyer-Agile-Adoption-Transformation
Building a Team Through Feedback: Lisamarie Babik, Johanna Rothman
Johanna Rothman 先生のセッション。
アジャイルチームが重視するピア・ツー・ピアのフィードバックが、より責任感の強いチームを作るという話。
Remote Pair Programming: A Guide for Distributed Teams: Joe Moore
分散開発において、物理的に離れた場所でペアプログラミングを実践するための手法の紹介。
Story Maps as Test Plans and Other Cross Cutting Guides: David Hussman
David Hussman による大規模開発 (複数チーム、分散チーム) におけるユーザーストーリーマッピングの手法の紹介。
予習はこちら。
http://pragprog.com/screencasts/v-dhcag/cutting-an-agile-groove
Combining Kanban and Scrum - lessons from the team of sysadmins: Kate Terlecka
しばしば対立構造で語られることの多い、カンバンとスクラムという2つの手法。これら2つの手法を両立させた手法を紹介する。
予習はこちら。
Adaptive Leadership: Accelerating Enterprise Agility: Jim Highsmith
Jim Highsmith は毎度お馴染み、適応型リーダーシップのお話し。
予習はこちら。
Craftsmanship or 'The only way to go fast is to go well': Robert Martin
Bobおじさんの毎度お馴染み、Craftsmanship のお話し。
Hold the Sprinkles! Cupcakes, layers, and Agile UX design requirements: Carissa Demetris
ユーザーストーリーマッピングを応用したエンド・ツー・エンドのUXデザインの解説。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/cdemetri/iue-demetris-layered-design
Agile FDA Mini- Plays, Mosh Pit Style: Brian Shoemaker, Nancy Van Schooenderwoert
食品や医薬品、医療機器などを管轄するFDA (アメリカ食品医薬品局) のような、規制の厳しい世界でアジャイル開発を適用するお話し。
Down the Pub: How did that transition you were working on go?: Andrea Tomasini, Hendrik Esser
エリクソンを組織的にアジャイルにした事例の紹介。
これを可能にしたポイントは、People(人), Practices(プラクティス), Perseverance(粘り強さ), Protection(後押し), Patience(忍耐)。
Coaching is More than Telling People What to Do: David Hussman
アジャイルコーチを生業にしている人には打って付けのセッション。David Hussman が語るコーチングとは。
The Need for (Build) Speed: Lasse Koskela
スローテストの問題に対処する方法について解説する。
An Agile Accounting Model to Accelerate Enterprise Agility: Walt Wyckoff, Pat Reed
アジャイル開発のメリットを定量化して、CFOに説明できるようにするにはどうしたらいいのか、というセッション。アジャイルプロジェクトの会計モデルの話。
Meet Scrum’s Big Brother, Dynamic Governance. Effectively Delivering Large Programs: Dan LeFebvre, John Buck
40年以上前にオランダで開発されたDynamic Governanceという手法を、大規模なアジャイル開発に適用するという話。
予習はこちら。
Agile Portfolio Management at NYSE : Gabino Roche, Jr.
NYSE (ニューヨーク証券取引所) におけるアジャイル導入の紹介。
The Nature of Software Development: Getting twenty pounds of fantasy into a five pound bag: Ron Jeffries, Chet Hendrickson
毎度お馴染み Ron Jeffries と Chet Hendrickson のコンビによるアジャイル開発と見積りの話。
「The Nature of Software Development」というChristopher Alexanderの著書をリスペクトしたセッションタイトルに期待が高まる。
The Tester’s Role in Improving Developers' Testing Skills: Andrew Prentice
アトラシアンで行われているアジャイルテストの紹介。
予習はこちら。
http://summit.atlassian.com/archives/code-and-build/agile-testing
Using Rapid Prototyping for Design Iteration: Hugh Beyer
ペーパープロトタイピングの紹介。
Scaling Product Ownership at the US Air Force - A Story of Epic Proportions!: Peter Saddington
アメリカ国防総省でのアジャイル適用事例の紹介。
Thursday AM
De-Mystifying Kanban: Understanding Its Many Faces: Alan Shalloway
Alan Shalloway によるカンバンのセッション。リーン・フローや制約理論を背景にしたカンバンの紹介。
予習はこちら。 http://www.netobjectives.com/files/resources/articles/Demystifying-Kanban.pdf
Product Owner Snow and the Seven Angry Dwarfs: V. Lee Henson
「白雪姫と七人のこびと」をもじったタイトルが目を引く。素早くユーザーストーリーを準備し、リリースプランニングをするための手法を紹介する。
Can laughing at our problems actually help us solve them?: Paul Goddard
笑いは問題解決能力を向上させる? 笑いを使った問題解決やコーチングのテクニックの紹介。
Understanding Agile Program and Portfolio Management: Mike Cottmeyer
伝統的なPMOが存在するような大規模かつ複雑な組織に、アジャイルのポートフォリオマネジメントを適用する話。
Can Marketing Go Agile?: Randall DeFauw
アジャイルプロセスをマーケティングにまで拡張したPERFORCE社の事例紹介。
Agile Values, Innovation and the Shortage of Women Software Developers: Ken Judy
女性のソフトウェア技術者の不足は由由しき問題ですぞ、というセッション。
予習はこちら。
Fixing Broke(n) Governments Through Serious Games: Luke Hohmann
予算不足・歳出削減に悩まされる自治体が参加型で予算再編をするアプローチである Budget Game のワークショップ。カリフォルニア州サンノゼ市での実践事例が有名。
Agile Conference は毎年、参加型のワークショップがたくさんあるが、今年は個人的にはこれが一番面白そうだった。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/innovgames/sxsw-2012-fixing-broken-government-through-serious-games
A Starting Point for Negotiations - Delivering with a Heterogeneous Team: Alfred Lorber
このセッションのスピーカーは核兵器の開発と管理、軍事科学、安全保障の全分野などについて国家機密に属する先進的な研究を行っているサンディア国立研究所でスクラムマスターをつとめる。
プロジェクトに100%アサインじゃないメンバーで構成されるクロスファンクショナルチームが、複数の分野の専門家によって構成されるマトリックス組織にアジャイル開発でソフトウェアを提供していくという気の遠くなるような話。
Inside-out: Leading Change from the Middle using Lean Tools and Principles: Ed Kraay
中間管理職向けセッション。リーン思考とリーンツールを使って、組織にアジャイル導入をする手法の紹介。
How Much Will This Project Cost?: Johanna Rothman
Johanna Rothman 先生のセッション。
「このプロジェクトにかかるコストはおいくら?」
誰もが知りたいが、この質問に答えることは困難である。この質問に答えずに、アジャイルの持つ透明性を利用して、組織をリードする方法を解説する。
Agile Data Warehouse - The Final Frontier: Terry Bunio
スライドがスター・トレックで統一されてるw
アジャイルとデータウェアハウスの話。元ネタは Scott Ambler の『』。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/tbunio/the-final-frontier
Demanding Technical Excellence and Professionalism: Robert Martin
今回、最多講演のBobおじさん、3回目。
ソフトウェア開発者がプロフェッショナルたり得るには?
Thursday PM
Velocity is Killing Agility!: Jim Highsmith, Pat Reed
Jim Highsmith のセッション。
誤解されることが多いベロシティと生産性の関係について。話題になった Jim Highsmith のブログエントリー「Velocity is Killing Agility!」にまつわる話。
It is the culture, stupid, but don't you dare touch it: Israel Gat
組織文化を変えることについての話。ピーター・ドラッカーは組織文化を変えるには10年かかると言った。でも、人はそんなに待てない。ではどうするか?
伝統的なフロイト理論に複雑系理論を組み合わせた行動心理学のアプローチを紹介する。
Exploring UX techniques and practices - When should they be applied? Get some practice!: Ariadna Font
ステークホルダーマップ、ペルソナ、ストーリーマップ、UXマップ、ストーリーボード、ユーザーシナリオ法、バックログ、ペーパープロトタイピング、BDD、ユーザビリティテストなどのUXのテクニック/プラクティスを紹介する。
Agile Antipatterns: The Agilist’s Guide to Traps, Tripwires, & Treachery: Adam Weisbart
現場で生じるアジャイルのアンチパターンをまとめるワークショップ。
How to Change the World: Jurgen Appelo
Jurgen Appelo は達人出版会から翻訳が出た『How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜』の話。
Jurgen Appelo の話は一度、生で聞いてみたい。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/jurgenappelo/how-to-change-the-world-9178258
達人出版会
発行日: 2012-07-13
対応フォーマット: EPUB, PDF
Play the Customer Development Game: A lean approach to business model discovery : Adrian Howard
リーンスタートアップにおける顧客開発の話。ビジネスの仮説を手軽に構築する方法を学ぶ。
Wetware Craftsmanship: Better Coaching Through Improved Understanding of the Mind: Brian Bozzuto, Devin Hedge
神経科学の観点から人の心を紐解き、コーチングを強化しようというセッション。
Motivated and Hyper-productive Agile Teams by Abolishing Performance Appraisals: Michael Mallete
アジャイルチームの業績評価とモチベーションの話。
Systems Thinking through Play: Patrick Kua
システム思考について学ぶワークショップ。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/thekua/systems-thinking-primer
What Does 'Self-Organizing Team' Really Mean?: Esther Derby
「自己組織化」という言葉がバズワードになりつつある。Esther Derby が「自己組織化チーム」の神髄に切り込む。
予習はこちら。
'How am I doing?' - Personal Retrospectives on Developing One's Craft: Diana Larsen
Diana Larsen によるふりかえりのハンズオン。
Dollars and Dates are Killing Agile: Chris Sterling, Brent Barton
アジャイルチームはストーリーポイントとイテレーションで会話するが、プロジェクトマネージャやビジネスマネージャはお金と納期を気にしている。
よくあるこの課題をどのように克服しているかという話。
Risk Management is Too Important for Project Managers: Mike Griffiths
アジャイル開発プロジェクトのリスクマネジメントのための8つのツールを紹介する。
予習はこちら。
Slow Down to Go Fast: Lessons Learned Shipping Bing Voice Search on Xbox : James Waletzky, Randy Santossio
マイクロソフトのXbox音声検索チームの事例紹介。
It's all about teamwork - getting a team to turn into a high-performing engine: Jeff Sutherland
スクラムの創始者である Jeff Sutherland氏は、チームとパフォーマンスについての話。
Pragmatic, Not Dogmatic TDD: Rethinking How We Test: Joseph Yoder, Rebecca Wirfs-Brock
Rebecca Wirfs-Brock によるテスト再考。
予習はこちら。
http://www.slideshare.net/yodamann/pragmatic-notdogmatictdd
Friday AM
Adventures of an Accidental Entrepreneur. A High Tech Teleradiology Venture from India: Dr. Sunita Maheshwari
Dr. Sunita Maheshwari はインドで活躍する医師兼起業家。小児循環器が専門。
彼女がインドでひとりで立ち上げたハイテク遠隔放射線診断 (Teleradiology) の会社は、遠隔放射線診断の分野で全米No.1企業になるまでに至った。このセッションでは、その足跡をだどる。
Managing a collaborative multi-national team in real time: Joe Justice
WIKISPEED社の創業者でありコンサルタントである Joe Justice の講演。
WIKISPEED社では、自動車の設計・製造にアジャイルソフトウェア開発のプラクティスを取り入れている。さらには、リーンとカンバンで6カ国71チームをコラボレーションさせている。
予習はこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=x8jdx-lf2Dw&feature=player_embedded
http://www.infoq.com/jp/news/2012/07/wikispeed-wellington
まとめ
Agile UX
すっかり定番となったAgile UX。今回もAgile UX関連のセッションが多い。Lean UXやLean Statupと相まって、手法/プラクティスが確立されてきた感がある。
大規模分散アジャイル開発
地理的に分散した複数のチームでアジャイル開発を行った事例が、毎年紹介されているが、今年の特徴は、大規模分散アジャイル開発で定番となったScrum-of-Scrumsに代わる手法がいくつか (Alan ShallowayやEsther Derbyによって) 紹介されている点に注目。
世界的大企業や公的機関の事例紹介
ロイヤル・ダッチ・シェルやエリクソンのような世界的な企業やニューヨーク証券取引所、アメリカ国防総省、アメリカ食品医薬品局、サンディア国立研究所のような公的な機関がアジャイル開発の成功事例を紹介している。
異分野の業績の取り込み
ピーター・ドラッカーに端を発する従来のマネジメント手法に加えて、交流分析や神経科学、行動心理学といった異分野の業績をアジャイル開発のチームづくりや人のモチベーション向上、問題解決能力向上に使おうという動きが顕著になってきた。
2011年09月03日 [長年日記]
_ XP祭り2011~ XP祭りX(テン) – XPX ~ に行ってきました
今年で10回目となるXP祭りに参加してきました。
私は、XP祭りに最初に参加したのが2005年*1で、2009年 (娘が産まれた翌日だった) を除いて毎年参加しているので、今年で6回目の参加になります。
私自身はXPJUGのスタッフなのですが、今回は初心に戻って、できるだけセッションに参加して、自分自身が楽しもうと思って参加しました。
午前中の社長パネルは、10回目のXP祭りにふさわしい人選で、社長さんたちが普段、コミュニティで見せているのとは違った経営者としての顔を垣間見ることができました。
午後は「Agile Buffet~現場に適したプラクティスを取り分けるワークショップ」と「情報共有ゲーム」に参加しました。初対面の方とも話が出来て有意義な時間となりました。特に、ShiroKappaさんとご挨拶できてよかったです。
5トラック並行でセッションが開催され、ワークショップがたくさんあるのが今年のXP祭りの注目すべき点です。イベントをXP祭りに絞って、運営をオープンにしてから、すくすくスクラム、DevLove、スクラム道といったコミュニティの人たちがどんどんXP祭りに入ってきて、盛り上げているのは、とてもいい流れになっているのだなと実感できました。
最後に、LTをしてきましたので、資料をあげておきます。最近はあの話ばかりしているので、違う話をしたくなって、話をしました。ご清聴ありがとうございました。
*1 2005年のXP祭りも9月3日だった!!
2011年07月29日 [長年日記]
_ Visionaries Summit 2011に行ってきました
岩切さんに声をかけていただいたのがきっかけで、LTをしてきました。
アウェイな感じなのかなと思っていたけどLTのメンツ (特に後半) がホーム過ぎて安心しました。でも、やっぱり会場はいつもの町内会とは違う人が多い感じだったので、自分が話をする機会を持てたのはよかったです。
今回、私はデブサミで話したことをその後のことも付け加えて5分に濃縮してしゃべりました。
最後は時間が足りなくなってしまったんだけど、こしばさんが「その後、どうですか?」っていう感じで質問してくれた (LTなのに質疑応答の時間がある!!) ので、補足することができました。
スライドをあげておきます。
午前中は中島さんの話を聞くことが出来ました。なかなか身につまされることが多かったです。
川口さんのまとめてくれたTogetterはこちら。
今回の中島さんの話もそうだけど、最近はこういった講演で自分語りをする人が増えている気がします (私がそういうところを選んで行っているというのもあるのでしょうけど)。出来事を追いかけていく「事例発表」よりも、それに関わった人を追いかけていく「自分語り」にフォーカスが移っているのも、最近のご時世 (ソーシャル?) を反映しているのかなと思いました。
普段とは違った人の話を聞いたり、話をしたりすることができて、なかなか有意義でした。ありがとうことざいました。
2011年07月23日 [長年日記]
_ Agile2011の傾向と対策
Agile2011に行く人向けにAgile2011のセッションのおすすめをまとめてみました。
Agile2011では5日間のあいだに200以上のセッションが行われます。私はそのすべてのセッション概要に目を通して、特に興味をもったセッションをピックアップしてみました。参考になれば幸いです。
ちなみに、私はAgile2011には行きません。これを読んでAgile2011に参加した人は、ぜひ帰国後に報告会をやっていただけると嬉しいです。場所は提供します :)
Monday AM
The Origins of Agile: Robert Martin
Uncle Bob がアジャイル開発に至る壮大な歴史を語ってくれる。Agile2011 のオープニングにふさわしいセッション。
An Introduction to Non-Violent Communication (NVC) for Agile Coaches: David Chilcott
非暴力コミュニケーション (NVC) の話。
Agile Clojure: Micah Martin, Colin Jones
Clojure を使ってアジャイル開発を体験してみましょう、というセッション。向こうでは流行っているのか、今回の Agile Conference のセッション概要に目を通していて、Clojure という文字をいくつか見かけた。
Refactoring in the 4th Dimension: Michael Feathers
Michael Feathers のリファクタリングのワークショップ。過去のいくつかのプロジェクトのコードをマイニングしてリファクタリングのコツを学ぶ。
参加者はノートパソコンにgitとRuby(1.8.7以降)をインストールしてくること!!
『』の印象があったので、Michael Feathers というとJavaの人という印象が強かったのですが、最近のTwitterやブログを追っているとRubyにご執心の様子。
Enterprise Agile Visioning and Learning – from the Organization to the Person: Jean Tabaka, Julie Chickering
アジャイルが組織レベルで適用されるようになってきたが、その中でナレッジの創造や共有をどうしていくかというテーマで Jean Tabaka がワークショップをやってくれる。Jean Tabaka はRallyのアジャイルコーチ。きっと、自身の豊富な経験を元に話をしてくれるんだと思う。
セッション概要には 『』の著者である Pascal Dennis の名前や ORID retrospectives (ORIDはふりかえりの手法のひとつ) が出てきて興味深い。Peter Senge の名前も出てくる。
ORID は日本ではあまり馴染みがないが、以下の頭文字をとっている。
- Observations : 知り得たことは何?
- Reflections : それについてどう感じた?
- Interpretations : それは自分たちにとってどんな意味があるの?
- Decisions : これからどうしようか?
Hooray, We're Agile Testers! What's Next? Advanced Topics in Agile Testing: Lisa Crispin, Janet Gregory
『』の執筆者 Lisa Crispin と Janet Gregory のコンビによるセッション。「アジャイルで品質ってどやって担保してるんですか?」というよくある疑問に答えてくれるかもしれない。
Agile In a Nutshell: Jonathan Rasmusson
『』が日本でも話題沸騰中。Jonathan Rasmusson がこのセッションで発表するのは、角谷さんが日本語訳している資料の元ネタ。
Introduction to Agile Planning and Project Management: Mike Cottmeyer
アジャイルな計画づくりとマネジメントの入門セッション。
Monday PM
The Budgeting Black Hole: Predicting the Unpredictable: Johanna Rothman, William Rowden
今年の1月にも来日している Johanna Rothman のセッション。なかなかいつも頭を悩ませるプロジェクトのお金 (予算) にまつわる話。Johanna Rothman のマネジメントの話はいつも興味深い。しかも、彼女の英語はとても聞き取りやすい。
Managers vs. Agile Teams: Who Makes the Decisions?: Meghann Drury, Ken Power
なかなか刺激的なタイトル。アジャイル開発を進めていく中で日常的に直面する意志決定。「これって誰が決めるの?」ってなりがち。これをワークショップを通して体験していく。
The Transformation Priority Premise: Robert Martin
Unble Bob が午前中に引き続き登場。どういう順序でリファクタリングをしていくか、という話。http://cleancoder.posterous.com/the-transformation-priority-premise を読んで予習をしておくべし。。
Integrated Product Development: David Hussman, Tim McCoy
アジャイルとデザインを製品開発にどう組み込んでいくかという話。AgileUX界隈では有名なふたりによるセッションなので期待。
David Hussman は 2009年の Gordon Pask Award Winner。その当時から Pragmatic Bookshelf で本を書いているという話だったけど、まだ出ていない。
Technical Debt: Assessment and Reduction: Israel Gat
技術的負債をお金 (金額) に換算するっていうワークショップ。おもしろそう。
The Agile Manifesto 10th Anniversary Reunion The Big Park Bench
アジャイルマニフェスト10周年を記念した特別イベント。アジャイルマニフェストの執筆者が一同に会する。注目!!
ちなみに、Kent Beck と Dave Thomas は欠席の予定。
daipresentsさんによる解説が参考になる。
http://manifesto.agilealliance.org/
Tuesday AM
Why Care about Positive Emotions?: Barbara Fredrickson
キーノートセッション。Barbara Fredrickson は Positive Emotion の研究家。日本だと『』という本が出ているので、事前に予習しておくとよさそう。
Agile won't work here... really?: candi rai, Marc-Elian Begin
メインフレームのCOBOL環境でアジャイルを採用した事例紹介。こんなのも出てきたんだなと感慨深い。
Refactoring and Code Smells - An example of refactoring legacy code: Bas Vodde
日本人にはScrumMasterの先生としておなじみの Bas Vodde によるリファクタリングの話。
Agile Methods Influencing Non-IT Projects: Clement 'James' Goebel
IT以外の分野にもアジャイル手法が広まっているという話を具体的な事例を示しながら説明してくれる。法律事務所、製造工場、建築、本の出版などなど。
Collaboratively Chartering Success: David Hussman
プロジェクトの Big Picture をつくって、関係者全体で合意していくための手法について解説してくれる。
Coaching at the Enterprise Level - Introducing the Agile Cafe: Joe Fecarotta
ワールドカフェをアレンジして、アジャイルカフェというのを提唱している。このアジャイルカフェを使って、組織レベルでアジャイルに関する知識を広めたり、コミュニティをつくったりする方法を説明してくれる。
What We Have Learned So Far: what we got right & what we got wrong: Chet Hendrickson, Ron Jeffries
おなじみ、 のRon and Chet コンビ。過去をふりかえって、これからも推奨されること、それからこれからは止めた方がいいことを語ってくれる。
Powerful Questions: Carlton Nettleton
質問力を鍛えるワークショップ。
Own Up: the Product Stewardship model for UX : Tim McCoy
ひとりのプロダクトオーナーを立てるんじゃなくて、共同所有のモデルにしていったほうがうまくいくんじゃないかという話。
Tuesday PM
Intro to Test Driven Design (TDD) & Pair Programming Dojo: Gary Bernhardt, Jeremy Lightsmith
道場!!
TDDとペアプロの入門体験。無線LAN付きのノートパソコンを持って行こう。
Test-Driven Development in(bed) C: Bas Vodde, James Grenning
Bas Vodde と James Grenning という有名人2人によるセッション。James Grenning はアジャイルマニフェストのAuthorのひとり。今年になって Pragmatic Bookshelf から『』が出ている。
このセッションは、C言語でTDDを実践するチュートリアル。CppUTestが実行可能な環境を用意して行こう。
How to defend against the 10 things that drive ScrumMasters crazy: Marc Löffler
スクラムマスターをやってたらチームの問題の根本原因は無知、恐怖、怠惰、無関心の4つ (地獄の4大悪) に集約されることを発見したという話。
Putting the Fun Back In Your Retrospectives: Ken Clyne, Eric Willeke
ふりかえりのチュートリアル。Rallyのコーチ陣が以下の手法について解説する。
- Goldilocks and the Three Bears
- The Break-Up Letter
- Draw Me a Picture, Captions, Futurespectives
- 5 Whys
- Holding a Movie Conversation
Test Driving and Unit Testing Thread Safety: Venkat Subramaniam
『』の共著者のひとりVenkat Subramaniamのセッション。
マルチスレッドのコードの設計を駆動するためにTDDを使用するテクニックを紹介する。
Adaptive Leadership: Accelerating Organizational Agility: Jim Highsmith
『』や『』の著者である Jim Highsmith のセッション。今回のセッションではこれまでの彼の考えを発展させて、組織的にアジャイルを導入していくために必要な適応型のリーダーシップについて語る。
Everything I know about Leadership I learned from Russell Crowe: Perry Reid
Russell Crowe が出演している人気映画を題材に、リーダーシップと自己組織化について学ぶという面白そうなセッション。
One earthquake, hundreds of volunteers and six days to build a website : Agustín Villena, Philippe Camacho
2010年2月にチリで大きな地震の被害を受けたチームの話。チームがストレスや情報不足、混沌に見舞われる中、コーチが雇われ、わずか6日間のあいだに、チームにかんばんやアジャイルプログラミング、ふりかえりなどを導入し、Webサイトを完成させたという話。
Lean Fundamentals: Understanding Flow Through Games: Michael Sahota, John Goodsen
リーンのコンセプトをゲームやシミュレーションを通して学べるワークショップ。
'It Depends on Context': You CAN get there from here, if you know where here is: Ainsley Nies, Diana Larsen
Diana Larsen は日本だと『』の共著者のひとりとして有名。アジャイルに進めるときのプロジェクト憲章についての話。
Refactor Your Wetware: Andrew Hunt
Andrew Hunt はずばり『』の話。
MAKING THE ENTIRE ORGANIZATION AGILE : Stephen Denning
Stephen Denning は 『』の共著者のひとり。経営、企業の目標、マネージャの役割などの視点から企業全体にアジャイルの考え方を適用する方法について解説する。
Teach Your Cucumber Scenarios to Speak 'Business': Richard Lawrence
Cucumber のセッション。ビジネスの言葉に合わせるために、Cucumber のシナリオをリファクタリングし、ユビキタス言語として育てていく方法を解説してくれる。
Wednesday AM
The empirical process - at the very core of Agile: Daniel Brolund
アジャイルのプラクティスや原則はフィードバックループに代表される制御理論に根ざしているので、制御理論を勉強して、制御理論の観点からアジャイルを見直してみようというセッション。フィードバック、ノイズ、遅延、エラー、堅牢制といったキーワードが出てくる。
Creating an Environment by Making, Keeping, and Amending Agreements: Amr Elssamadisy
Amr Elssamadisy はチーム内での合意形成についての話をする。
Distributed Scrum: Why some teams make it work well and others don't: Val Scott, William Rowden
3つのタイムゾーン、2つの言語と文化のあるチームで分散開発した事例の紹介。
Scaling Software Agility: Advanced Practices for Large Enterprise: Dean Leffingwell
Dean Leffingwell は『』の著者。統合創発的エンタープライズアーキテクチャ、再規模システムの再設計のためのかんばんシステム、戦略的配置、アジャイル・ポートフォリオ・マネジメント戦略、ガバナンスといった大規模開発向けの話がでてくる。
Seeing and Steering Systems: Three Pragmatic Tools: Esther Derby
『』で有名な Esther Derby によるセッション。マネージャが組織の改善をリードしていくときに必要なツール (以下の3つ) について紹介する。
- Eoyang CDE
- Expand the Problem Horizon
- Finding Factors
Agile Isn't Enough: Jeremy Lightsmith
刺激的なタイトル。アジャイルとあわせて使うことで有用なテクニックを紹介してくれる。かんばん、IxD (インタラクションデザイン)、ペーパープロトタイピング、リーンスタートアップ、A/Bテスト、GTD といったテクニックが紹介される予定。
Exploratory Testing in an Agile Context: Elisabeth Hendrickson
Elisabeth Hendrickson による探索的テストの入門講座。『』の探索的テストの節は、James Shore ではなく Elisabeth Hendrickson が書いている。
Design Thinking: Mary Poppendieck
Mary Poppendieck がデザイン思考の話をするというのが新鮮。Appleと米軍を事例として取り上げる。
Innovation Jams: Lessons in Agile Product Development - An Experience Report: John Haniotis
Innovation Jams と呼ばれる手法の紹介。1週間弱という短い期間で新製品のコンセプトを作って共有することによって、time-to-marketを短縮している。
Tell Me Why -- 'The Golden Circle' of Agile Transformation: Jean Tabaka
Simon Sinek の「Golden Circle」という考え方がアジャイル導入にいかに関連しているか (「なぜ?と問いかけることの重要性」) について Jean Tabaka が語る。
The Potential For Agile Digital Marketing Business Strategy: David Dalka
マーケティングプロセスにアジャイルの考え方を取り入れるという話。シニアビジネスリーダー向け。
Removing Impediments with Drawings: Carlton Nettleton
ビジュアルシンキングのお話し。Dan Roamの『』を題材にしたハンズオン。Dan Roam の最新刊は『』。
Flow Games: Karl Scotland, Eric Willeke
ゲーム形式でリーンとアジャイルチームのコンセプトを理解するという主旨のワークショップ。
The surprising science behind agile leadership: Jonathan Rasmusson
『』の Jonathan Rasmusson 再登場。自己組織化チームを形成するための、アジャイルなリーダーシップについての話。surprising science というのがどんなものなのか、とても興味がある。
There is No Spoon: When Agile Becomes One with the World of Work: Derek Neighbors
人と人との相互作用、コラボレーションといった話。
Raconteur: luring programmers into testing and testers into coding: Mike Suarez, Isel Fernandez Diez
Fitnesse と Cucumber のデモンストレーション。
Integrating UX Into Agile: How To Ensure Your Sprints Result In Usable Software: Jon Innes
UXI Matrix という手法について解説するセッション。プロダクトバックログとUXとの関連をうまいこと管理するための手法らしい。
Do you dare to ask your HR manager to practice KANBAN?: Thushara Wijewardena
スリランカの微妙な規模のソフトウェア会社のカンバンを使ったアジャイル導入事例。
Wednesday PM
Scaling and Failing - The Human Limits of Effective Software Development: Michael Feathers
Michael Feathers のセッション。アジャイル導入にまつわる問題は、基本的にスケーリングの問題であるとし、2つのケーススタディからこの問題に立ち向かうポイントを示す。
Refactoring Conversation Smells: Gil Broza, Luiz Claudio Parzianello
リファクタリングの「コードの不吉な臭い」をコードだけでなく、日常のコミュニケーションに拡張している。「会話の不吉な臭い」を感じ取ってリファクタリングしましょう、という話。
Tests as a Means of Abstraction: Brian Marick, Michael Feathers
豪華すぎるコンビによるセッション。関数型言語によるテスト駆動開発の話。言語は Clojure を使用。
Basic Principle of the TPS and its Practical Ideas for Agile Software Process!: Satoshi Kuroiwa, Kazumasa Ebata
日本人によるセッション。黒岩さんと ebacky。2年前の Agile Japan からつながっている。
参考 : http://www.infoq.com/jp/articles/agile-japan-2009
The PO Role - Can you hear me now?: Belkis Vasquez
プロジェクトマネージャ兼ビジネスアナリストからプロダクトオーナーに転向してうまくやってるよという話。
Scrum and Kanban Like Chocolate and Peanut Butter: Damon Poole
お腹の空きそうなタイトルのセッション。チョコレートとピーナツバターがスクラムとかんばんにどう関係するのかは分からなかったので、セッションに期待。
Beyond Software: Adopting Agile Outside of Development: Leeann Berner
開発部門以外のところ (営業・マーケティング・プロフェッショナルサービス・人事) でアジャイルを採用するという話。
Team Traps: Esther Derby
Esther Derby が今年、来日してくれたときに話してくれた話。
Lean Startup: How Development Looks Different When You're Changing the World: Abby Fichtner
リーンスタートアップのお話し。Abby Fichtner は Microsoft でスタートアップのエバンジェリストをやっている。
Simple Methods for Reliable User Involvement: Hugh Beyer
ユーザーから信頼性の高いインプットをどうやって得るかという話。現場では結構切実で話題に上ることが多い。フィールド調査の手法など、非常に興味がある。
Lean as a Scrum Troubleshooter: Carsten Jakobsen, Tom Poppendieck
Mary Poppendieck の旦那様である Tom Poppendieck のセッション。トヨタ式のA3企画書で過去にいろんな問題を解決してきたよという話。
Thursday AM
Stages of Practice: the Agile Tech Tree: Arlo Belshee, James Shore
『』の James Shore が登場。アジャイル開発者に要求される「技術ツリー」のお話し。スキルセットや習熟度の参考になりそう。
Handling Product Management Across the Enterprise: Alan Shalloway
昨年の Agile Japan でも来日した Alan Shalloway のセッション。大規模なアジャイル開発における製品ポートフォリオマネジメントやステークホルダーとの連携に焦点をあてた話。
Visual Portfolio Management - Putting the 'Big' in Big visible tracking: Bob Payne, Michael Kaiser
Portfolio Alignment Wall (PAW) というものを使って、プロジェクトの状況を視角化する手法の紹介。
Kaizen Lego Game: Francisco Trindade, Danilo Sato
レゴと聞いて懸田さんのバグレゴを思い出したが、関係なかった。
レゴを使った生産ラインを作って、それを改善していくというワークショップ。カイゼン、PDCA、標準作業、なぜなぜ5回、現地現物、A3レポート、バリューストリームマッピングについてハンズオンで学ぶ。
Playing the Customer Development Game: Adrian Howard
顧客開発とリーンスタートアップについてゲームじかけのワークショップで学ぶ。
Scrum in Sales: Denny de Waard, Jeff Sutherland
Innovation Sprint でも来日した Jeff Sutherland のセッション。開発以外 (このセッションでは営業) でスクラムを使ったという話。
The Agile Scaling Model (ASM): Be as Agile as You Need to Be: Scott Ambler
Scott Ambler によるアジャイルのスケールアップの話。チームの規模、地理的分布、ドメインの複雑さ、組織分布、コンプライアンス遵守、組織の複雑さ、技術的な複雑さ、エンタープライズ分野という8つの要素によってどのように対処するかが決まってくる。
Lean Procrastination - How to Identify the Last Responsible Moment: Marc Bless, Olaf Lewitz
リーン開発の本質である決定を遅らせることや最終責任時点についてワークショップを通して学ぶ。
Beyond Planning Poker - The Planning Poker Party: James Grenning
James Grenning によるセッション。プランニングポーカーをとりあげている。最初のリリース計画のときのように、大きなバックログを相手にざくざく見積もっていくときにどうするかという話。
Thursday PM
How a Traditional Project Leader Transitions to Scrum: Nafis Ahmad, Jeff Sutherland
従来のプロジェクトマネージャがいかにスクラムに移行するかという話。PMIとスクラムのマッピングがガチ。
SHU-HA-RI Applied to Agile Leadership—Driving Your Agile Evolution: Bob Galen
海外の人が異常に好きな守・破・離。
このセッションはリーダーシップの成熟度評価モデルの話。
Teaching Kids Programming with Agile Techniques : Lynn Langit, Llewellyn Falco
子供向けのプログラミング教育にアジャイルの技術的なプラクティス (ペアプロ、イテレーション、リファクタリング、TDD、乱取り) を導入しているという話。
乱取りは日本ではあまりなじみがないが、TDDなどの手法をハンズオン形式でペアになって学習するためのフォーマット。ハンズオンのあとで、Fishbowl形式でふりかえりをやるのが一般的。
Designing a Kanban System for the Enterprise: Karl Scotland
エンタープライズシステムの開発にかんばんを使う。
Agile Education by Object Game – most HISSATSU way to understand it.: Tsuyoshi Ushio, Emerson Mills
牛尾さんのオブジェクトゲーム。Object Oriented brain!!
Leadership Agility in a VUCA World : Nick Horney, Jim Highsmith
Jim Highsmith が再登場。相方の Nick Horney は組織心理学者。
VUCA は US Army War College でつくられた造語。Volatility (変わりやすさ), Uncertainty (不確実性), Complexity (複雑性), Ambiguity (あいまいさ) の頭文字をとっている。
VUCA のような状況に対応できるリーダーシップのありかたについて、アジャイル開発と組織心理学のぞれぞれの専門家の考えが聞けるセッション。
User-Centered Design and Agile Methods: A Systematic Review: Tiago Silva, Angela Martin
UCDとアジャイル手法の統合に関する研究成果の発表。
Telling Better Stories with User Story Mapping: Jeff Patton
Jeff Patton によるおなじみのユーザーストーリーマッピングのセッション。
来年出版予定になっている以下の2冊を待たれよ!!
The Only Agile Tools You'll Ever Need: Jeff Langr
アジャイルプロジェクト管理ツールについての話。Jeff Langr は知る人ぞ知るという感じかもしれないけれど、超ベテランAgilist。数あるセッションの中でもプロジェクト管理ツールを取り上げたセッションはこれだけ。
How Functional Programming Changes Developer Practices: Dean Wampler
関数型プログラミングがアジャイルのエンジニアリングプラクティスを変えていくでしょうという話。Dean Wamplerは『』の著者のひとり。
Scaling Agile to the Enterprise with Lean: Carsten Jakobsen, Mary Poppendieck
Mary Poppendieck のセッション。大きな組織にリーンの考え方を適用していった本当にあった話。
Slackers and Debtors: Meet Commitments, Reduce Debt, and Improve Performance: James Shore
『』の James Shore のセッション。
あなたのチームは "Done Done" じゃなくて、"Maybe Maybe?" になっていませんか?
技術的負債、ベロシティ、ゆとり (Slack) のバランスをとって常にストーリーを "Done Done" にする秘訣を James Shore が伝授してくれる。
Goad Testing: Guaranteeing that Tests Make Distinctions: Max Guernsey
Goad Testing という TDD より発展したテストの考え方について解説する。
Lean UX: Getting out of the deliverables business: Jeff Gothelf
Lean UX という言葉は初めて聞いた。これまでの AgileUX とどう違うのか (それとも同じなのか)気になる。
Friday AM
Code: Kevlin Henney
Kevlin Henney は きのこ本こと『』の編集者。講演タイトルはストレートに「Code」。期待が高まる。
The Power of an Agile Mindset: Linda Rising
大トリは Linda Rising。
アジャイルがうまくいくのはプラシーボ効果なのか? (よいと信じているからうまくいく?)
今年の Agile Japan のあの熱狂が、今度は世界に広がる。
Others
Coaches Corner Office Hours
オープンスペースを使ってスクラム道みたいなことをやるみたい。
Open Jam: Pecha Kucha
20枚のスライドを1枚20秒ずつで説明する、合計6分40秒のトークス。Pecha Kucha は XPJUG で デブサミ2008 のコミュニティライブとしてやった。XPJUG でやったときは、16枚 * 16秒 で切りよく 256秒にしてやった。
これは、勇気を出して飛び入り参加してみるといいんじゃないかな。
まとめ
エンタープライズ・アジャイル
Agile2011 では、全部で15あるステージ (カテゴリ) の中にずばり Enterprise Agile というステージがある。Enterprise といっても、いろいろな捉えたかをされるが、今年の Agile Conference は、組織全体をアジャイルにしていくという内容の発表が多い (セッション概要を上から順番に見ていくと、本当に2つにひとつくらいはそういう話じゃないかと思うくらい)。
それに伴って、自己組織化やリーダーシップというキーワードもたくさん出てきている。
IT以外の分野への適用
アジャイルをIT以外の分野に適用したという事例がいくつか出てきている。また、開発だけでなく、経営にもアジャイルの考え方を広げている話も多い (元々「アジャイル」は経営の言葉)。
リーンスタートアップという言葉もたくさん見られるようになった。
技術系セッションの増加
Uncle Bob が苦言を呈したためか、エンジニアリングプラクティスを紹介する技術系のセッションが増えている。
関数型言語
関数型言語で TDD をやるというような話がちらほら。Clojure を取り上げたセッションが2つもあるのは驚き。
組込み系
日本のアジャイルコミュニティはBtoC向けのWebサービスや業務システムの話題が中心になっていて、組込み系はどことなくアウェイ感があるが、今回の Agile Conference では本当に組込み向けのセッションが多い。
_ daipresents2 [すごく参考になりました。ちょっとスケジュールを再検討してみますー ありがとうございます。]