2007年05月25日 [長年日記]
_ 1 + 1 = ?
1 + 1 = 2
これは小学校で習った通り。でも、現実世界ではこう上手くはいかないことが多いのです。プロジェクトマネジメントの世界もそのひとつです。
遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加はさらに遅らせるだけだ
かの有名なブルックスの法則というやつです。()
デマルコの「」も同じ論調ですね。
これに従うと、
1 + 1 < 2
ということになるでしょうか。
それから、もっと怖ろしいことに
1 + 1 > 0
とも限りません。マコネルは「」の中で「負の生産性プログラマ」の存在を指摘し、「プロジェクトを後ろ向きに引っ張っている」と指摘しています。
つまり、
1 + 1 < 0
となる可能性もあるということです。
これは決して驚くことではないのと思います。飛んでもないものが出来上がってきて、デバッグや作り直しで一から作るより時間がかかってしまったとか、モラルの低いプログラマが一人でもいることによってチーム全体の士気が下がってしまうとか。この辺は実感がありますよね。
一方、プロジェクトファシリテーションというのは
個々人のスキルは重要です。そして、ここで取り上げるのは、集まった個人のスキルを100%以上に発揮させるチーム作りとしての、「プロジェクトファシリテーション(PF)」です。
その場その場の変化に対応し、チームが協力し合って創発的に成果を出していく、「リーダーシップ・コラボレーション型」の新しいチーム作りの形です。
( http://www.objectclub.jp/community/pf/ )
だそうなので、
1 + 1 > 2
にしようということです。
だだし、100人のチームに50人投入するとかそいう大規模なケースは想定されていなくて、あくまでも10人以下とかそういう少人数の場合に上の式が成り立つようにしようというのがプロジェクトファシリテーションだと理解しています。
で、実際のプロジェクトでプロジェクトファシリテーションとして紹介されていることを色々と試行錯誤しながらやっている訳ですが、やっていて思うのは
1 + 1 < 0
みたいな極端なことはないにしても、やはり全体的な生産性だけで考えると
1 + 1 < 2
だと思うのです。
でも
1 + 1 > 2
になる瞬間というのが時々あって、そういうときにこのメンバーでこのプロジェクトをやっていて良かったなあって思うんですね。
その瞬間に生まれているプラスアルファの価値とか、メンバーの体験(Experience)とかを大事にしていきたいなぁと思っています。
時間で考えるとわかりやすいかもしれません。<br>1h + 1h < 2h<br>なのです。<br>細切れの1hの作業を2つ足したところで、2h集中してやった作業にはならないと思うのです。<br>これは、人で考えても同じでしょう。<br>個人個人の動きは足しても2には、ならない。<br>でも、チームとしてゴールが共有できたら2以上の働きができる。<br>そういった価値を大切にしているのがプロジェクトファシリテーションのような気がします。