fkino diary


2019年06月23日 [長年日記]

_ DevLOVE X に思ふこと

私がダークナイトなら、彼はさながら光の騎士*1といったところだろう。

ぎりぎりまで入れるかどうか迷っていたスライドがある。

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「Social change is changing yourself」って(あんまり)言うな って言われていたので、これまで自分のスライドでは使ったことはなかった*3

でも、言葉のとおりに実行した後で、その変化を見たひとに「どうすればできるのか?」と問われてはじめて
「Social change is changing yourself」とか「Social change starts with you」と答えるのが、
この言葉のよい使い方だと思います。

「言葉のとおりに実行した」

そうか…

私は彼に労いと感謝を伝えるために、このスライドを追加した。

彼は一番後ろの席に深く腰掛け、静かに聞いていてくれた。一瞬、目が合ったような気がした。

関連記事

fkino diary(2009-09-26)

*1 「正しいものを正しくつくる」だ!

*2 撮影は 森 雄哉 さん。

*3 「 XP is about social change. 」は何回も使っている。


2018年07月19日 [長年日記]

_ Agile Japan 2018 川鍋氏の基調講演に思ふこと

Agile Japan が 2009年の初開催 から数えて10回目の開催になったことは個人的に感極まる出来事でした。

今年の Agile Japan は JapanTaxi の川鍋社長の基調講演がとても印象に残ったので、それについて書いてみようと思います。

川鍋社長の基調講演を聞いて、「トップの理解があるからうまくいっている」「うらやましい」という反応を耳にすることが多かったです。まったくその通りだと思います。しかしそれは裏を返すと、川鍋社長のような経営者がいないと開発はアジャイルにならないということの裏返しなのかと思い、悲観的な気持ちになりました。(私の経験上、そんな企業はほとんど皆無だからです。)

しかし待てよ。

川鍋社長の話の中で、1日に何度もTシャツをスーツに着替えて国土交通省に行っているというエピソードがありました。規制産業の中で政治家や役所との調整役を買って出ている。さらには、日本交通という長い歴史のある企業で既存ビジネスとのあいだに立って、両者のバランスを取ろうとしている。

この人、闘っている。

こういったエピソードを聞いたことを思いだした瞬間、私の中で何人もの顔が思い浮かびました。

光学機器メーカでアジャイル開発を推進するために経営者と現場のあいだに入ってすべての調整を行ってくださった部長さん。自動車メーカーの子会社でアジャイル開発を推進するために首を覚悟で親会社とのスコープ調整をやってくださったプロダクトオーナー。ひ孫請けのベンダの立場でありながら明日から私服勤務を許可してくださいと日本で時価総額がトップ3に入るような企業のマネージャに噛みついたエンジニア。

私がこれまで見てきた開発の現場では、開発をアジャイルにするために現実と理想のあいだにはさまって、それでもパッションを持って闘っている人がいました。開発をアジャイルにするためにはそういう人たちが必要なのです。JapanTaxi はそれがたまたま社長だっただけ。部長でも現場のリーダーでも、あるいは、ひとりのエンジニアであったとしてもできるのです。でも逆に、そういう人がひとりもいない環境では開発は絶対にアジャイルにならない。そんな思いを強くしました。

そう、川鍋社長は社長だからできたんじゃない。覚悟があれば、誰もが川鍋社長のようになれる。もちろん、今日 Agile Japan に参加した人たち、ひとりひとりも。

あ、そうか、今日の基調講演は川鍋社長のカイゼン・ジャーニーだったんだ。そんなふうにおもいました。

そして、これまで 10年間の Agile Japan はこういうパッション持った人たちに出会うためのジャーニーだったんだな〜。

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで(市谷 聡啓/新井 剛)

Tags: agilejapan

2017年03月21日 [長年日記]

_ ヴァル研究所に2回見学に行って分かったこと

直近、ヴァル研究所さんに続けて2回 (1回目は 1月にSCSKさんと 、2回目は 3月にオリンパスさんと ) 見学に行って、私が気づいたことを共有したいと思います。

1. ひとつとして同じカンバンはない

ヴァル研究所さんにはたくさんのカンバンがありますが、どれとして同じカンバンはないことに気づきました。それぞれの現場にあわせて、それぞれの工夫をされています。

聞いてみたところ、この状態になるまでに6年間かかったといいます。標準化や横展開のような無機質な言葉では実現できない世界がヴァル研究所さんにはあると思います。

2. 壁がない!!

もしかすると、1回でもヴァル研究所に見学に行ったことがある方は、ヴァル研究所さんが貼りものをするスペースが多い会社だと誤解されているかもしれませんが、決してそんなことがありません。

ヴァル研究所さんのビルは全面がガラス張りで、2階の総務スペースの造作壁を除いて、3階、4階はオープンなフロアになっており、決して貼りものをするためのスペース (壁) が多いわけではありません。(平均的なフロアより壁は少ない方だと思います。) そんな中でホワイトボードや使える壁はすべて有効に使って貼りものをしています。

貼りものをするスペースがないことを言い訳にせずに、現場で工夫しているところが本当に素晴らしいと思います。

3. 止める勇気

2回目の見学で気づいたこと。それはたった1枚の付箋紙に書かれていて、バーンアップチャート (だったと思う) のグラウンドルールが書かれたパウチ加工されたシートに貼られていました。

「一時休止します」

始めることは簡単だが、止めることは難しい。

私はやっていたプラクティスが自然消滅するか、ずるずる惰性でやっている現場を多く見てきました。そんな中でやらないことを決めて、それをチームで合意し、「一時休止します」という付箋を貼る。見学に来たみんなも素通りしてしまうようなこのたった1枚の付箋紙を見たとき、そして、このチームがこの付箋紙を貼るまでの葛藤やこの付箋紙を貼る瞬間の手の震えを想像したとき、私はちょっと感激してしまって、かなりグッときてしまった。これができるのが、ヴァル研究所さんの本当の強さなんだと感じました。

新井さん 、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。新井さんに見学に来てもらえるような現場をつくるのが私の新たな目標になりました。

Tags: Agile Kanban

2016年12月30日 [長年日記]

_ オフィスに子供を連れてくる

大掃除中の光景

*1

毎年、最終営業日は朝からオフィスの大掃除をして、お昼前には居酒屋で集まって打ち上げをやるのが恒例行事になっている。

6,7年前にこの大掃除の光景が一変する出来事があった。なんと、オフィスに子供を連れてくる社員が現れたのだ。年末で託児施設が開いていないというのが理由だった。

他の社員は自然とこれを受け入れた。大掃除中に子供を世話するメンバーも出てきた。

年々、大掃除に来る子供の数は増え、子供の笑い声が聞こえるのが当たり前の光景になった。今では、子供たちにお父さん、お母さんの職場を見せる絶好の機会にもなっている。

ポイントは、これは社員が自発的にはじめたことだということだ。少なくとも、私はオフィスに子供を連れてくることに関して、メンバーから許可を求められたことは一度もない。社員ひとりひとりが自分の頭で考え、判断し、動いた結果だ。

どうやったら社員が自発的に動けるようになるのかと聞かれることがよくある。私はエクストリームプログラミングで仕事をすることが、自分の頭で考え、判断し、動ける文化の根源にあると信じている。

(Joy,Inc. 風に書いてみた。)

ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント(リチャード・シェリダン/原田 騎郎/安井 力/吉羽 龍太郎/永瀬 美穂/川口 恭伸)

Tags: esm

*1 撮影はhtkymtks (https://twitter.com/htkymtks/status/814395628507697152)


2016年09月24日 [長年日記]

_ XP祭り2016に参加しました

自重せずに LT をしてきたので、スライドを置いておきます。

LT でよかったのは、@koicAgile Japan 2016 長崎サテライト で声をかけた NaITE(長崎IT技術者会) のおふたり (角田 俊さん、藤沢 耕助さん) が発表していたこと。単に自重してないだけじゃなくて、新しい人の勧誘にも励んでいますよ、とアピールしておきます。(これは @koic のファインプレー)

基調講演は牛尾さん。休日モードということで、マイクロソフトや DevOps から解き放たれた清々しい講演でした。今年になってから牛尾さんの話は何回か聞いているけど、毎回バージョンアップしていて、今回は西洋文化のインストールの手法について、より具体的に話してくださり、目から鱗な話しもいくつかありました。

一方、会社の名前を背負って発表しに来ていた人がたくさんいたのも印象的でした。野村総合研究所の森實 繁樹さん、東芝の伊藤 裕子さん、オリンパスソフトウェアテクノロジーの清水 弘毅さんといった人たちが会社の名前を出して発表していました。聞いてみると、会社に稟議を通して発表資料のチェックを受けて発表されているとのこと。こんなことはXP祭りではこれまでにほとんどなかったことだと思います。これが3周目の世界か。

ちなみに、弊社 永和システムマネジメント では発表資料の事前チェックは行っていませんし、稟議や報告も不要です。その代わりに、発表当日に会場に社長とアジャイル事業部長が見に来ます (笑)。

Tags: xpjug